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1921年のSF映画「アエリータ・火星の女王」

2018 年 3 月 15 日

1920年代を中心として、1910年代-1930年代に興味があります。

ってなことは日頃から結構アチコチで言っていますが。

第一次世界大戦、第二次世界大戦の間、「大戦間時代」に人々が、
何をどう誤ってファシズムへの道へ突き進んでしまったのか。

そこに興味があるからです。

そんなこともあってこの映画、「アエリータ」を観てみました。

 

■「アエリータ」ってどんな映画?

ソヴィエトで作られた映画「アエリータ・火星の女王」は、
1921年に撮影され、1924年に公開されました。

地球と火星を舞台にしたSF映画です。

 

1920年代のSF映画と言えば、有無を言わさずフリッツ・ラングの
「メトロポリス」と言われてしまうのですが。

でも、別にあの映画は突然、降ってわいたように生まれた、
突然変異的傑作、なのではなく、その前後にSF映画というものは
イロイロ登場していたわけです。

 

映画は当時の相当センセーショナルな娯楽でした。

以前、1910年代に制作されたゲイ映画「Different from the Others」を
紹介したときにも書きましたが、当時の映画というのは、総合娯楽です。

総合娯楽、というのもそうですし、ニュースを観るなら映画、
講演会(当時かなり流行っていました)を観るなら映画、
どこかに出掛けるなら映画、という感じ。

テレビとかない時代なので、映像に刺激されるワクワク感は相当なものでした。

そうなると当然、視覚的に刺激的なSFとかも制作されるようになるわけです。

他にも当時は、「科学技術の進歩」とか「未来」とかが
とても意識されていた時代だった、ということもあります。

 

この映画「アエリータ」は、SFでもあり、当時の映画にも見られた
教訓譚、教育的な内容の映画、でもあります。

ソヴィエトがプロパガンダの手段のひとつ、
として制作したものでもありますので。

今ならお説教臭い、と思ってしまう感じも結構……w

 

■「アエリータ」のあらすじと意味合い

1921年に火星の研究に没頭していた主人公ロスのもとに、
電波のメッセージが届く。

「アンタ・オデリ・ウタ」。

これが火星からのメッセージだと言うことになり、
ロスはますます火星の虜に……。

ロスの想像の中で、火星は貴族社会を構成していて、
女王アエリータと実際の権力者であるその夫がいる。

一方ロスは様々なトラブルに巻き込まれ、
設計していたロケットに乗り込み一路火星へ。
火星でロスは女王アエリータと対面し、ロスに恋したアエリータは
夫を亡き者にせんと革命を実行。

しかし権力を手にいれたアエリータは、
今度は自らが権力者として君臨することを決めてしまい……。

 

 

正直ストーリーは紆余曲折している感じがないでもないので、
まあ、大雑把に言えばこんな感じ。

貴族社会の火星に革命を、というのは、
ロシア王朝を倒したソヴィエトの姿。
そう考えると内容の様々な要素は、
まさに啓蒙的、教育的。

 

当時は結構ヒットした映画らしいです。
けれども結局は、ソヴィエト政権にとって
煩わしい作品になってしまい、
冷戦後まで日の目を見ることがない状態に
させられてしまった映画だそうです。

 

時の移り変わりの何と切ないことよ。

 

でも映画の中のセットや衣装のアートデコな感じは、とても未来的。

SFならではのアイリス構造のような扉が登場するのもなかなか斬新です。

 

戦前のSF映画ってどんなのがあるの?とか
ちょっと変わった昔の映画が観たい、という人にお勧めかもです。

 

 

 

映画「アエリータ・火星の女王」
https://en.wikipedia.org/wiki/Aelita

 

 

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